2005年10月アーカイブ

まさかの日本シリーズ3連敗で迎えた第4戦。
舞台は甲子園。

koshien051026_1.jpg濱中選手は今シリーズでは、第3戦に代打で一度打席に立っただけでこの日を迎えました。ちまたのファンの間でも、スポーツ新聞紙上やテレビやラジオなどの放送でも、つながらない打線の起爆剤として濱中選手の起用を提案する声が日に日に増していました。

球場は、タイガースの勝利を願うファンの悲痛なまでの祈りに包まれた一種、特別な雰囲気の中で開始されました。

その中で、ライトスタンドにいつもと違う旗が・・・
応援団が振る旗の中で「濱中」の文字の入った大きな旗がありました。レギュラーシーズンでも見ることの無かった旗が、日本シリーズの甲子園のスタンドにはためいていました。

もしかすると濱中選手への期待の大きさがこんな所にもあらわれていたのかも知れません。

しかし、この試合でも先制したのはロッテ。
初回は三者凡退と上々の滑り出しを見せた杉山投手でしたが、2回表にイ・スンヨプ選手のツーランホームランで先制を許してしまいました。

球場中が「今日もダメなのか・・・」という溜息で満たされました。

4回にも再びイ・スンヨブ選手がタイムリーツーベースを放ち、3対0。

koshien051026_2.jpg一方的な展開の中、迎えた4回の裏のタイガースの攻撃。
4番金本選手からの攻撃だったのですが、攻撃中、ベンチ前には中村豊選手とともに濱中選手がユニフォーム姿で出てきてキャッチボールを始めました。

このタイミングで選手がベンチ前でキャッチボールなどアップを開始すると言うことは、次の回から出番が来ると言うことです。

ただ、試合前までは岡田監督も濱中選手を甲子園で守備につかせることはないと明言していましたので、「中村豊選手が守備につくんだろうか?」と思いながら、それでも頭の片隅では「もしかして、濱中選手が?」と想像してしまいました。
一生懸命その姿を写真に納めようとシャッターを切りながら、「いや、このタイミングで出るなら中村豊選手より濱中選手じゃないか・・・」、そう思い始めてドンドン胸が高鳴ってきました。

koshien051026_3.jpg4回の裏のタイガースの攻撃は、残念ながら結局三者凡退で終わってしまいました。

キャッチボールを終えた濱中選手は中村豊選手からボールを受け取ると肩をポンと叩かれ、ゆっくりとライトへと向かって走り出しました。

そして一塁ライン上に来ると、ライトの守備位置に向かって帽子を取って一礼。

そのままカクテル光線の中で鮮やかな緑に光る芝の上を一直線に走り出しました。

解き放たれたように、走る姿は久しぶりに感じる甲子園の芝の感触を楽しんでいるかのようにも見えました。

koshien051026_4.jpg途中、センターに向かう赤星選手も祝福するかのように濱中選手のおしりをポンポンと叩いて走り抜けていきました。

そうです。
ついに帰ってきたのです。

甲子園のライトの守備位置に・・・

場内アナウンスで濱中選手がコールされる前から、スタンド中が歓喜の声援を送りました。
「濱ちゃーん!」
「濱中~」
「おかえり~」
「やってくれよ~」
ライトの守備位置についた濱中選手に、多くの声がかけられます。

そして場内アナウンス。
「9番、ライト、濱中、背番号31」
球場中からわき上がる大きな拍手と歓声。

koshien051026_5.jpg守備位置でのキャッチボールを終えた濱中選手は、くるりとライトスタンドの方を振り返ると帽子を取ってファンに向かって一礼しました。

「ありがとうございます。帰ってきました。」

報告するかのような一礼に、スタンド中がさらに大きな拍手で応えました。

濱中選手自身がずっとずっと帰ってきたかった場所。甲子園のライトの守備位置。日本シリーズと言う大舞台が復活へのその一歩となりました。

その場にいる濱中選手の姿。見慣れたはずのライトの守備位置ですが、懐かしさと新鮮さが入り交じったなんだかとても不思議で、それでいてすごく自然な雰囲気に、「やっぱりここなんだ。濱中選手のいるべき場所は・・・」そう感じずにはいられませんでした。

シャッターを切りながらファインダー越しに見る濱中選手の表情は決して恐れや不安を抱いたものではなく、この2年間、自分を信じて歩き続けてきた自信に満ちたものに見えました。

「お帰りなさい」

僕の胸はうれしさでいっぱいなのに、どうしても涙をこらえることが出来ませんでした。

koshien051026_6.jpg守備機会はすぐにやってきました。
5回の表、ワンアウトから堀選手の放った打球は一塁線に。

フェンス際までボールを追いかけ処理した濱中選手は、そのまま素早く二塁へと返球。力強いボールがワンバウンドで二塁上に送られ、あわやタッチアウトというタイミングでした。

濱中選手の所に・・・それもライン際の打球が飛んだ瞬間、球場中がハッと息をのみました。
僕の中ではもう何も聞こえなくなって、ボールの行方、濱中選手の動作だけがゆっくりとスローモーションの様に見えました

でも濱中選手は何事も無かったかのようにプレーを続けました。いや、何事も無かったのです。

ボールを追いかけて捕って、投げる・・・野球選手として当然のことが、こうやって普通に出来る・・・
それをちゃんと見せてくれました。この送球を見た誰もが濱中選手の肩が復調していることを実感したと思います。

結局、この日の濱中選手の守備機会はこの1回だけでした。
でも明らかに輝いていた送球でした。来季からの濱中選手の完全復活を十分予想させてくれるプレーでした。

koshien051026_7.jpg
打つ方では結果を出せず、結局チームもやぶれて日本シリーズは千葉ロッテマリンズの31年ぶりの日本一という結果で終わりました。

ですが、最後の最後に濱中選手は見せてくれました。
来季へと続く確かな光を。

終わりではなく、新たなシーズンの始まりです。そう、濱中選手にとって飛躍のシーズンとなるはずの新たなるシーズンの・・・

前日の夜中過ぎまで降り続いていた雨が嘘のように、朝から雲ひとつ無い快晴。
さすがは南国・宮崎です。朝早くから日差しが強く真夏のような気候です。

今日は西都市の西都原運動公園にある西都原公園野球場でヤクルトと試合予定。

12時半からの試合でしたので、2時間前に球場に着けばいいだろうと高をくくって球場に向かったのですが、計算外だったのは球場までの距離。

なんと宮崎市から1時間くらいかかるのです。

少し余裕を持って球場に向かったつもりが、着いてみると11時半でほとんどタイガースの練習は終わってしまっていました・・・残念。
下調べは重要ですねぇ(汗)

球場には多くのファンが詰めかけていましたが、大部分はタイガースファン。宮崎はジャイアンツがキャンプを張ることもあり、ジャイアンツファンが多く、また西都市はヤクルトがキャンプを張るのでヤクルトファンが多いと聞いていたのですが、意外でした。関西からの遠征の人も多少はいるでしょうが、駐車場の車の大半は宮崎ナンバー。しかもレンタカーの「わ」ナンバーではなく、通常のナンバーです。
タイガースフィーバーで九州・宮崎でもファンが多くなっているのかも知れないですね。

グラウンドではメンバー表の交換があり、すぐに先発メンバーの発表。

「1番センター赤星、2番ショート鳥谷、3番キャッチャー矢野・・・」

フェニックス・リーグとは思えない豪華メンバーです。
続いて・・・

「4番ライト濱中」

来ました。そう先発ライトでの出場です!

一軍選手が並ぶ中、濱中選手の打順は4番。嬉しいですね!

試合前にベンチ前で円陣を組んでミーティングをした後、試合開始。

1回表のタイガースの攻撃は残念ながら三者三振でしたので、濱中選手には回ってきませんでした。

miyazaki051016_1.jpg
そして1回裏の守備。友情グラブを持った濱中選手は、はつらつとライトの守備位置へ走って向かいました。
そしてその位置でセンターの赤星選手とキャッチボール。

キャッチボールを終えるとサングラスをして守備につきました。

緑の芝生の上、ライトの守備につく濱中選手の姿・・・
やはりいいですね。少しずつ慣れてきたのか、肩に少しずつ自信を持ち始めたからか、守備についている表情も余裕が感じられました。

この回はライトへの打球は無し。

戻ってきた濱中選手は、2回表の先頭打者としてバッターボックスへ向かいました。

miyazaki051016_2.jpg相手投手は右投げの坂元投手。その初球。低めのボールをうまく打ち返しすと打球はセンター前へ。
チーム最初の安打は濱中選手のバットから生まれました。

残念ながら後続が続かず得点にはなりませんでしたが、いきなり打撃の好調ぶりを見せつけてくれました。

2回裏には最初の守備機会が・・・
ツーアウトランナー無しで、ライトのライン際にフライが飛んできてこれを難なくキャッチしました。

続いて3回裏にはワンアウトランナー無しからライト前ヒットをキャッチ。すぐさまボールを内野に返球していました。

4回表、この回もまたも先頭打者として登場。
2回に続いて先頭打者として、出塁することを優先してセンターから右へ打つのかと思いましたがなんと2球目を思い切り振り抜くとボールはそのままレフトスタンドへ。
miyazaki051016_3.jpg
球場中があっけにとられる先制のソロホームランです。
滞空時間が長く、レフトスタンドに飛び込む濱中選手らしい美しいホームラン。目の前で何が起こったのか分からないくらい興奮してしまいました。

一人でカメラを持ったままガッツポーズをしてしまいました。しかも、撮影のためにヤクルト側のスタンドにいたにも関わらず・・・(汗)

宮崎まで来て良かったです!こんなシーンが待っていたなんて・・・
最高のプレゼントでした。

その裏には、また守備機会がありました。シーンはノーアウトランナー2塁。
他のチームもそうですが、濱中選手がライトにいると打球が飛んだときには積極的に次の塁をねらって行くと宣言していますよね。
もちろんそのことは濱中選手自身も知っていると思うのですが、このシーンで濱中選手のところに打球が飛んできました。

それも最もタッチアップされやすいライン際のライナー。ライン方向へと走った濱中選手は半身の体勢でこれをキャッチ。そしてそのまますぐに体の方向を変えて、内野に返球。非常に素早い返球にいったんはスタートを切ったセカンドランナーもタッチアップをあきらめてベースに戻ってきました。

ただ、この際の送球は強く低い球だったのですが、藤本選手の前でワンバウンドしてしまい、藤本選手がこれを捕球し損ねてしまいました。ただボールは転々としたもののバックアップもいたので、走者が進塁するにはいたりませんでした。

miyazaki051016_4.jpgチェンジになって、ベンチに戻った濱中選手に吉竹コーチが二言三言声をかけ、頭をこづくような仕草を見せていましたが、濱中選手の方はいたずらっ子のように笑ってました。

6回表に第3打席が回ってきました。2球目のボールを振り抜くと強い当たりがレフト線へと・・・

もう50cmで二塁打という惜しい当たりでした。今日は、いつもと比べると早いカウントから積極的にどんどん打っていく姿勢が見られました。

結局、この打席の結果は残念ながら三振。変化球にタイミングが合わなかったようですが、ベンチに戻るときに藤本選手に球筋をアドバイスしていましたし、ベンチ内でも赤星選手にも変化球のタイミングを伝えていました。

球筋はしっかり見えていたようでしたよ。

miyazaki051016_5.jpgこの前後にも、守備機会がたくさんありました。今日はなぜかライトに飛ぶ打球が多くいずれも無難にこなした濱中選手でした。右中間方向の打球があまり無くてライン際に走って捕球するシーンが多く見られました。
数えてみると計6回の守備機会がありました。

濱中選手の最終打席は8回表。ワンアウトランナー一塁のシーンで回ってきました。
この打席でも左側に大きく切れてしまったものの、ホームラン級の大ファールが見られました。最終的にはこの打球に投手がおそれをなしたのか、ワンスリーから四球。
一塁に達した濱中選手に代走が出され、今日の濱中選手の出番は終了でした。

今日の打席ではいずれもレフトへと強い打球が見られ、本来の濱中選手の長打力をかいま見た気がしました。
やはり試合にフルで出場してこそ濱中選手の真価が発揮されるのでしょうね。
シリーズではDHでの出場の可能性が高く、好調な打撃で活躍が期待されますね。

【2005年10月15日】

雨のアイビースタジアム

10日から宮崎で開催されているフェニックス・リーグ。
濱中選手も満塁本塁打を打つなど、大活躍の様子が伝わってきています。

でも濱中選手がフェニックス・リーグにいるのは15日まで・・・それ以降は甲子園に戻って一軍の練習に合流する予定となっていました。

その前に1試合だけでもいいからフェニックス・リーグでの濱中選手を見に行きたいと思いつつ、いくつかの問題がありました。

宮崎は遠いですから行くとしたら飛行機・・・。
しかも天気予報は雨。もし中止になったりしたら・・・。
どうしようか、かなり迷いました。

でも行かずに後悔するくらいなら行って後悔しようと思い、決断しました!

朝早くに伊丹空港を出ていざ宮崎へ!

飛行機内には関西から取材に行くと思われるテレビクルーが何人も乗っていました。みんなタイガースの取材に行ってるようでした。

いよいよ飛行機が、宮崎空港に着陸という時になっても外は雨。かなり強く雨が降っていました。取材陣達も口々に「どうする?雨だよ。もしかしたら巨人の練習見てこいって言われる可能性もあるぞ!」などと慌てふためいていました。

取り敢えず空港から宮崎駅に電車で移動しても大雨。
タクシーで開催地である生目の杜運動公園にあるアイビースタジアムに向かいましたが、球場についても大雨。

「こりゃあダメだなあ」

と思いながらも球場周囲を回っていると選手は球場に入っていましたし、球場周囲には多数のファンも待っていました。

スタンドがまもなく解放され、球場内に入りましたが、グラウンドは水たまりだらけでとても使い物になりそうもありません。
雨は降り続いていましたし、空も暗く、厚い雲が覆っていましたのでこの時点で試合はあきらめました。

miyazaki051015_1.jpg

ベンチにいる濱中選手を少しでも写真に納めようと、ファンの大部分が屋根のある席にいるのに、一人、タイガースベンチが見えるところに陣取って傘を差しながらじっとカメラを構えていました。

でもなかなか濱中選手の姿は見られません。他の若手選手はベンチを行ったり来たりしているのですが、濱中選手をはじめとする一軍選手の姿はほとんど見られません。

どれくらい待ったでしょうか。

突然、濱中選手が現れました。
miyazaki051015_2.jpgアンダーシャツ姿で現れた濱中選手は、一旦ベンチに腰をかけしばらく林選手と話していましたが、やおら立ち上がると手すりに手をかけ空を見上げて雲行きを確認していました。その視線の先にはもちろん厚い雲があり、空からは止むことのない強い雨が降り続いていました。

空模様を確認すると濱中選手はすぐにまたベンチ裏へ。

まぁ、一目濱中選手も見られたし良しとしようかと自分で自分に言い聞かせていたとき・・・急に雨が小降りになりました。
そして少し空が明るくなったとき、場内にアナウンスが流れました。

「ご覧のような空模様ですので、試合開始時間を遅らせて試合開始の予定です」

驚きました。雨が止みつつあるとは言え、グラウンドはぐちゃぐちゃでとても試合が出来るような状況には見えなかったのです。

それでも試合が見られるのならと、奇跡のようなアナウンスに喜んでいました。

miyazaki051015_3.jpg

するとベンチに濱中選手がユニフォーム姿で現れました。

しばらく藤本選手と話し込んで、またグラウンドの状況を確認していました。他の選手も続々と集合し、選手の中にはグラウンドに出てアップを始める選手も出てきました。

ところが、その瞬間・・・

再び大粒の雨が一斉に降り始めました。

そして中止決定・・・
場内に中止を告げるアナウンスが虚しく響き渡りました。

miyazaki051015_4.jpg仕方ないなぁと言う苦笑いで濱中選手達はグラウンドを後にしていました。

選手は球場を離れるとそのまま、室内練習場へ。

他では室内練習場の中の様子は見られないのが普通ですが、ここアイビースタジアムではなんと入り口の部分がわずかにあいていて、ここから遠目にわずかながら内部の様子を見ることが出来ました。

選手達は幾つかのブロックに別れて練習を行っていましたが、濱中選手はちょうど入り口とは対角線上に真反対の場所で関本選手と交代でフリーバッティングを行っていました。

その様子、遠くて鮮明ではありませんが何とか撮影することが出来ました。

miyazaki051015_5.jpgいい当たりを連発していましたよ。

そして練習は終了。

これで終わりかと思ったのですが、報道陣の様子がおかしいのです。
何だろうと耳を澄ませると「明日は一軍残留?」などと聞こえてきます。

一軍選手は室内練習場を出るとタクシーに乗り込んだのですが、ちょうど通りかかった濱中選手に声をかけて「明日は残留ですか?」とお聞きすると、「はい!残留になりました」と教えて下さいました。

思わず濱中選手に「僕も残りますんで、頑張って下さい~」と即答してしまいました(笑)

と言うわけで、日帰りのはずの宮崎遠征は急遽、一泊に変更となったのでした。

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